2014-06-21-15-30-50

東京駅近く、ホテルでの仕事は終わった。
一度改札に入り、下北沢へ帰ろうとしたのだが、また改札を出て、丸の内側に出てみた。東京の東京駅。東京に住みながらも、どこか一番縁のない場所である。
私が田舎から出てきた時はバイクであったし、新幹線で東京駅に着き、ああ、ここが東京か、などと思ったことがない。

ただ、ここ数ヶ月、毎日のように東京駅にやってくると、大きな荷物をもった人々がどんな気持ちで、ここを歩いているのだろうかと想像してみることは多々あった。

毎日4時に起き、仕事が終わってから酒を呑むも、9時10時頃に電池が切れたように寝てしまうのも、なんだか心地良かった。
ただこれは私の場合、期限付きだからこそ、楽しめたようにも思うが。

たかだか三ヶ月だが、また新鮮で楽しい暮らしをさせてもらった。若者達が、頑張る姿も見れた。若い女の子が手に火傷を負いながら頑張る姿は、美しいとさえ思った。

また一つの事を終え、これからのこと、これまでのこと。そんな事を思いながら、禁煙の東京駅の隅で煙草を二本ほど吸った。

私の飲食の経歴の中で、また一つ新しいもの。
たこ焼き屋、バーに居酒屋。板前さんに手解きを受けたり、歌舞伎町でテキ屋をしたり。自分で店をやったかと思えば、スペインでの高級レストラン。そして今回は短期間ではあったが、ホテルの厨房での仕事。
思いつきで動いた結果である。
スペインから帰ってきて、引越し屋に重量鳶、そして今回のホテルの仕事。一つ一つ、丁寧にやれた気はしているが、これだけでも、少し面白い流れのように感じる。

仕事の終わった翌日。子供達と遊び、一人下北沢に戻る途中、なんとなくふと車を停めて、ガードレールに座り、夜のひと気のない道を眺めていると、少し不思議な気持ちになった。
周りの景色が、なんだかいつもと違うように思ったのだ。
自由になったからなのだろうか。そんな簡単なことだろうか。本当の自分に戻ったような、そんな感覚なのだ。力の抜けた身体が、妙に心地良かった。

そろそろ名古屋に向かう準備。今日は車のワイパーを取り替えた。1971年式のワーゲンに付いていたワイパーは、もうゴムが劣化し、殆ど雨水を取り除いてはくれない。いつもの目黒の工場の気の良い親父さんの所に行き、ワイパーを替えてもらった。これから名古屋に行ってくると話すと、自由でいいね、と笑った。
帰り道、ワイパーを替えた途端に雨が降ってきた。スイッチを入れると、フロントガラスに降り付いた雨水を、嘘のように綺麗に流してくれた。
造作に使った余り木を処分しようと、まるに来ると、雨は強くなり、雷が鳴り始めた。
夏が来る。まるの主人と一緒にまるの店内で雷の音を聞きながら、これを書いている。
さあ、そろそろ雨も上がる頃だろう。木を片付け、車を片付け、酒を呑もう。
夏が来る。
このワクワクした気持ちだけで、酒が進みそうである。