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先日の土日は、久しぶりに丹沢登山へ。M氏と二人で。彼と私は、お互いを尊重していて、頑固ではあるが、尊重した相手には素直に影響を受けるためか、着ている物や所持品が随分似てきた。頭も二人とも坊主頭である為、知らない人が見たら、所謂、同性愛者に見えるかもしれない。
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10時頃に下北沢で待ち合わせる。久しぶりに担ぐバックパック。私は何故だか、バックパックを担ぐと、気合いが入る。力強く歩く。力強く生きる。
1年ぶりの丹沢。天候は良くなかったが、そんな事はどうでも良い。とにかく久しぶりの丹沢。柔らかい土の上を踏みしめるたびに、嬉しかった。
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登山口から林道に入って行くと、幻想的な霧に包まれた。木々が水墨画のように遠近濃淡に広がる。途中からは、やはり雪がだいぶ残っていたが、凍ってはいないので、アイゼンを付ける必要は無く、ほぼコースタイム通りに山頂に着いた。大倉ルート。山を始めた頃、あんなに辛かった山が、今では少し汗をかく程度といった感覚。それが測れるのも嬉しいルートだ。
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前日はたっぷり酒を呑んだので、ゆっくり1時頃からスタートし夕方に山頂へ。お目当ては、もちろん尊仏山荘。大好きな小屋だ。私はテント泊が大好きで、殆ど小屋には泊まらない。泊まるのは、この小屋だけなのだ。親父さん、そしてジェイソン達のいる小屋。ここで酒を呑む。酒を呑む為に登るのである。
今回は、バスクのアラメダで頂いた革製のボトルに、ウイスキーを一本分全部入れて、パッキングしておいた。
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小屋に入るとジェイソンに二度見された。スペインに5年くらい行っているかもと言っていたので、余りにも早く、驚いていた。なんだか温かく迎えられて嬉しい。親父さんももう2時から呑んでいるので、ご機嫌だ。旅の話をしながら酒を呑んだ。車を買ったと言うと、ジェイソンが怪しい予感がする、という。車に住もうかな、と言うと、やっぱり!と大笑いした。
親父さんにこれからどうするのか聞かれたので、旅をしながら移動販売をする、もう好きな事しかしたくない、と言うと、親父さんは嬉しそうに笑った。小屋の仕事も大変な事もあるけど、下界よりマシだ、と笑う親父さんは、相変わらず頑固で柔軟で、無邪気だった。
8時消灯。以前は朝まで働き、そのまま登っていた為、もうこの時間には意識が飛ぶように眠ったいたが、今回はきちんと寝てきている。そうそうすぐには眠れまいと思ったのだが、床に就いて数秒で眠ってしまった。
寝覚めると朝の4時。ぐっすりと8時間は眠った。途中一度、夢の途中にうっすら目が覚めた時、あ、私は家で寝ているのだ、と錯覚した。その後に思う。家。今の私にとって家とは、何処を指すのだろうか。それはさておき、とにかく凄くゆったりと寝たのだ。山の上で。山々に囲まれた山頂で。雪に埋まった小屋の中で。
夜がゆっくりと明ける。夜のうちにまた少し雪が降ったのだろう。私たちの足跡の上にまた雪が積もっていた。朝から、一合の米を炊いて、みそ汁と一緒に平らげた。親父さんとジェイソンは、少し下に停めている車を、積もった雪から掘りに行くと、背負子にワカンをつけて、タオル巻き、長靴姿で出かけて行った。山男は格好いい。格好をつけないから、格好いいのだ。下界に降りた時は連絡をくれと、新しい電話番号をジェイソンに渡して別れた。
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今回は、寄り道もせずに真っすぐ下山。そして温泉に向かった。東海大の駅近くにある温泉に行くと、入れ墨お断りとのこと。すると、横にいた気の良い年配の男性が、鶴巻温泉にある弘法の湯なら大丈夫だと教えてくれた。捨てる神あれば拾う神ありとはこの事。
しかし、ふと気付いた。私は丹沢・大山フリーパスと言う切符を買っていた。何故か、東海大の改札を出ようとした時、私の切符だけ、機械が読み込んでくれなかった。ここの温泉でも私だけが通してもらえない。虫の知らせ、というか、こんな事が沢山あるように思う。もう、切符が通らなかった時に、うん、やめようと、さっと引き返せるくらいになってみたいものだ。
気の良い男に教えてもらった温泉は、最高だった。登山客も多いのだろう。きちんとバックパック置き場まで用意されていた。風呂上がりにビール。下北沢に帰って、4時頃から『まる』にて一杯。のつもりが夜の2時近くまで呑んでしまった。山帰りの湧き上がる力は恐ろしい程だ。酒に使っている場合ではないが。街行く女性が妙に綺麗に見えるのも、きっとこの山の力であると思われる。

帰国後、初の山。このタイミングに山に登れて、本当に良かった。私には、あの山の上に大好きな小屋がある。そう思うだけで、なんだか心が温まる。そんなふうに思うのだ。