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昨日の教会の中の巡礼宿は、本当に良かった。年老いた神父さんが出迎えてくれた。何故だろうか、妙に親近感があった。部屋や、台所、トイレなどを場所を教えてくれている時、私の腕をずっと掴んでいた。名前を聞かれたので、マコと名乗ったが、スペインの友達はパキートと呼ぶよ、というともの凄く嬉しそうに笑った。

また私しかいないものだと思っていたら、遅い時間に2人組がやってきた。前の巡礼宿でも会った二人だ。これで会うのは3度目。私の方が自転車で、早い筈なのに、一度は私より早く巡礼宿に着いていた事がある。何でだ?と聞くと、余りにも風が強くてバスに乗ったというのだ。私が自転車に乗れず、歩いて町につき、そして宿を探して2時間歩いた、あの日の事だ。正直、イラッとした。まあ、でも色んな旅があるのだ。私がとやかく言う事ではない。私は、まだ起きたばかりの学生達にBuen camino!と言って、巡礼宿を出た。
あの神父さんに一言挨拶をと思ったのだが、いないようだ。心の中で、ありがとう、と言って町を出た。

今日も朝は雨。本当にスペインの北、そして冬は雨が多い。余りにテント泊が続いていたら、もう何もかもが湿って、大変だっただろう。巡礼宿がちょこちょこあって本当に助かった。しかも殆どの巡礼宿は6ユーロである。いくら円高とは言え、1000円はしないのだ。

今日はやっと北の道とフランス人の道の合流地点を越えた。するとチラホラ巡礼者を見かけるようになった。有名なのはフランス人の道で、殆どの巡礼者は、ここを辿るだろう。北の道で見たのは、例の学生と、オーストリアの彼と、巡礼3度目のデルフ、あと道で通りすがったのが2組いたか、それくらいである。それでも、それで良かった。そんな風に思う。
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気付けば、自転車のメーターが1000kmになっている。本当によく走った。というより、よく押した。岩場を担いで登ったり、川のように水が流れる道を登ったり、牛糞に山に突っ込んだり。
もう、思えばいろんな事があった。人の優しさに触れたり、大きな町で途方に暮れたり。
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それが、ゴールはもう目の前なのだ。あと僅か20km。
途中、巡礼者のみんなが、落書きをしている場所を見つけた。私も、せっかくだ。一筆書いておこうと、ペンを取った。
もうこのまま今日中に行ってしまっても良かったのだが、今日はここまでにしておいた。O Pedrouzoという町。
見渡すと、Pulperiaという看板が多い。そうだ。ここはガリシア。タコが有名なのである。
今日は、何だか身体が出来上がってきたのか、随分と楽に行程をこなし、2時にはこの町に着いていた。飯時である。
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これはちょっとまともな飯でも喰ってみるかと、店を探す。しかし、どこも何故か閉まっている。Pulperiaで喰って見たかったが、適当なバルを見つけてMenu del diaを頼んだ。
タコの前菜、RapeとMerluza、ポストレとカフェ、そして白ワインのボトル。しめて12ユーロ。うーん、安い。そして美味かった。何だろう。日本語に『染みる』という表現があるが、この表現は本当に素晴らしい。疲れている時に深呼吸をする。すると、足の先まで酸素が行き渡るのを感じる。疲れている時に、飯を喰った時も、同じような感覚だ。本当に染みる、のである。
とにかく美味かった。もう、言う事ないね。この台詞を、この旅で何度言っただろうか。
今日の朝はドーナツ一つで走った為、尚更だ。しかし、甘い物は凄い。エネルギーとしては絶大である。とにかくチョコを見つけては、買ってポケットに入れておいた。
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さあ、明日はサンティアゴだ。巡礼の旅。これは凄い旅だ。
初めは小手試し、くらいのつもりだった。でも、今はこの旅の事しか考えられない。そして、なぜだろうか、許しを求めはじめた自分がいる。クリスチャンでもない私がだ。
私のスペイン生活の最後を締めくくるのに、最高で唯一の旅だったのではないだろうか。今はそんな気がしている。

もうゴールを目の前に、感無量なのだ。