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3日目夜。教えてもらったバルに行き、食事をしていると一人の巡礼者が声をかけてきた。どうやら山が好きらしく、話も盛り上がる。オーストリア出身の男。日本まで自転車で帰る話をすると、オーストリアにも是非寄ってくれ、いい山が沢山あるんだ、と言ってくれた。Facebookで繋がれたし、また会えると嬉しい。彼は歩きだし、この旅で会う事はもうないだろう。
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4日目。まずはGernikaを目指す。大きな町だ。なんだろうか、やはり大きな町は、どこか素っ気ない。そして、大きな町の方が、黄色い矢印も少ないのだ。不親切な町だぜ、などと、ぼやきながらすぐにこの町を通過しようと思ったら、町の出口付近で自転車に乗った男が、話しかけてきた。
サンティアゴに行くんだろ?この先は迂回した方が良いよ、と道を一生懸命教えてくれる。話していると、歩きかかった女性も加わって、手振り身振り、一生懸命教えてくれた。とにかく中々分かりにくい道のようだ。途中の町の名前をいくつか教えてもらい、それをメモして出発した。
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先に進むと、次々に彼らが言っていた町の名前の標識が現れる。何とか、言われたMorgaという山を見つけて登っていうると、後ろから車がやってきた。さっきの女性だ。違う方向へ帰っていった筈だが。きっと私が、言われた通りに行けているか見に来てくれたのだと思う。満面の笑みで手を振りながら去って行った。
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言われた町Larrabetzuに到着。なんだかとても可愛い町だ。時折、こんな乾いた町が現れる。乾いた。そんな表現がしっくり来るのだ。近くのバルでスタンプを押してもらう。いろんな男達が話しかけてきた。そして、彼らの仲間内でサンティアゴの話で盛り上がりはじめた。この道を行け、と男に教えてもらった道を行く。もうすぐBilbaoだと思った矢先、またも、もの凄い険しい山道。息も切れ切れ登っていくと、木が風でなぎ倒されて通れなくなっている場所があった。唯一通れるのは、脇にある牛糞の山の上のみ。行くしかない。勢いを付けて牛糞の上を駆け上がった。上手く通れたが、やはり足と自転車は牛糞だらけだ。木の枝で、少しそれらを払って先を急ぐ。もう日が暮れそうなのだ。そして、この登りは、まだまだありそうだった。
やっとの思いで頂上に着く。見た事のある町、ビルバオが眼下に見える。この感動。幾つもの山を越え、こうして町が見えたときの気持ち。格別である。
一気に坂を駆け下りた。もう日は暮れたし、前に泊まった事のあるユースホステルに泊まる事にした。
そして、ビルバオ付近に住む友人に電話すると、運良くビルバオで買い物中。一緒にピンチョス巡りを楽しんだ。夜12時。死んだように眠った。
走行距離、60km。
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5日目。ビルバオを9時に出発。8時まで爆睡。一気に疲れも吹っ飛んだ。行く前にユースホステルで、北の道の地図を貰った。英語だが、中々見やすい本で、もうこれをもらっただけで、ここに泊まった甲斐があるというものだ。
当初、サンタンデールを目指そうと思ったが、地図を見ると140km。これはその前の町にするしかない。そして、今回は一気に車道で行こうと考えた。しかしながら、やはり車道も半端ではない。北の海の風は強いし、山ばかりの道。500mの高低差を一日何度繰り返した事か。
しかし、どうだろう。何だか、どんどん身体が慣れてきている気がする。一日一日とどんどん楽になってる気がするのだ。
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途中少し道に迷い、高速道路に迷い込んだ。だが地図のお陰で、Zierberaという町にたどり着く。ここがとてもいい町だった。
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海沿いにこんな素敵な草原もあり、ちょうど昼時だったし、水場もあったのでここで昼食をとる事にした。贅沢だ。これが贅沢というものなのだ。食べたのは、ギュウギュウ詰めにした為に粉々になっているインスタント麺。無茶苦茶に美味かった。
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途中に潰れたドライブインや、こんなバルもある国道N-634。日本、武蔵、だな、なんて一人で笑ったり。今日は本当に海沿いの道が多かった。景色もいいがとても風が強い。
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午後4時半、今日の目的地、El Pontarronに到着。今日もアルベルゲに泊まる事にする。何だか、テントを張る場所は、あるにはあるのだが、何せ北の海沿い。無茶苦茶、風が強いので躊躇するのだ。しかも巡礼宿は10ユーロもしないくらいに安い。町の雰囲気を味わうのも、この方がいいのではないかと思うようになった。この町は、とても小さな町。バルが一件。そしてそのバルが経営するアルベルゲ。経営などと大袈裟な物ではない。空き家があって、鍵を渡すから、適当に寝てね、という感じ。
このバルが実に良い。ビールを呑んでいると、女主人が、米でも食べる?と、イカとエビのリゾットを出してくれた。驚く程美味かった。Que Rico!!!というと、きつそうな顔が、柔らかい笑顔に変わった。
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私の後ろでは、地元の男達がポーカーで盛り上がっている。
町から町、というより村から村へ。振り返ると山ばかりで、さっきまでの町は、もう見えない。
もうオンダリビアも遥か遠く。もう200km近く、この山々を越えてきたのだ。私は山登りの時も、この振り返る瞬間が好きである。私の来た道を見る、この瞬間が。
坂を登っていると、地平線に雲が見えてきた。よし、また私は山を越えたのだ、と分かる瞬間。これも至福の時である。この旅。少し慣れてきたようだ。
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さあ、明日は予定のサンタンデールを越える。サンタンデールまであと60km。