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昨日はGurutze-berriというレストランへ。
サンセバスティアンの料理学校を設立したルイス・イリサール氏と、函館のレストラン・バスクの深谷氏が、昔働いていたというレストラン。その二人はここで出会ったのだと言う。

オイアルツンという片田舎にポツンとあるホテルレストラン。
クラシックな雰囲気で、可愛らしい。
日本ならば、田舎にある家庭的な旅館のような感覚だろうか。
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しかしながら、私はここの料理が大変気に入った。
著名人が働いていたといっても、私の場合、ここバスクに来てから初めて耳にする方々なわけなので、それが私の味覚を変えたわけではないと思われる。
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初めの一品は、野ウサギのテリーヌ。
コンソメスープを冷やし固められた上に盛られていて、どれと合わせて食べても美味しい。これだけで随分ワインが進む。
器も、真っ白な皿ではなく、全部それぞれに絵柄が入っていて、どこか古さを感じるのだが、それがまた可愛らしい。洗練されていない感じが、どこか懐かしさを感じさせる。
今回はまた、Menu degustacion。フルコースに、追加でヤマシギを注文した。
もう、殆ど肉料理。しかも殆どがジビエである。
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山ウズラと白アルビアのサラダ。
純粋に美味い。味は日本的な要素もあり、懐かしい感覚だ。
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これは、小鳩のシチュー。
食べていると、ガリッと固いものが入っている。取り出して、皿の上に出すと、金属質の音を立てて転がった。聞くと散弾銃の弾だと言う。
いかにもジビエらしく、何だか嬉しく思った。
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こちらは、鹿肉。野生の鹿は以前にも食べた事がある。生でも食べた。鹿は本当に癖の無い美味しい肉なのだ。そしてこのソースが美味かった。こちらで食べる、この手の肉料理にかかるソースには、一癖ある事が多く、私は少しその癖が苦手なのだが、このソースは美味かった。
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そして、ヤマシギ。油の少ない鳥だ。初めて食べるが、あ、この鳥の感じ、食べた事あるな、と懐かしい気がした。
脳みそも食べるのだが、魚の肝のようでとても美味い。そう、なんだが、魚を思い出すような鳥なのだ。
ジビエの王様だとか、女王だとか言われるこのヤマシギ。
私の働くレストランでも調理しているが、味わった事はなく、今回ここで食べられて、本当に良かった。

もう、後はこのコースに猪が入っていれば、全ジビエを制覇出来たかもしれない。
それほど、野生の肉達を食い尽くした。
中でも野うさぎのテリーヌは、後味に程よい癖があり、本当に赤ワインと合うのだ。
コースに含まれていたボトルワイン、2010年のRioja"Antano"クリアンサと、凄く相性が良かった。

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ポストレも美味かったが、もう、腹が苦しいくらいである。
アペリティボは、クロケッタとチストラのピンチョ。最後、カフェと一緒にチョコラテが出てきて、一人70ユーロほど。
これは、中々リーズナブルである。ヤマシギは高級なので、それを追加しなければ一人50ユーロ程なのだ。

旅立つ前に、こんなレストランに来られて本当に良かった。
所謂、洗練された星付きレストランとは一線を画すレストラン。
1969年からやっているという昔ながらのレストランは、こういったレストランにあまり来た事が無い私でも、懐かしさを感じる事が出来る。

レストランから出て、煙草を一本吸った。
田舎の風景。誰もいない公園。そのそばにある家の2階の窓に灯りが点いている。
どんな子が住んでいるのだろうか。
誰と限定するわけではなく、昔、好きだった子が住んでいそうな気がしてくる。
小学生のときの私。その子に気持ちを伝えられないまま。しかし、その子の家の前を通る時、2階の部屋の窓に灯りが点いていると、立ち止まって思いを馳せるのだ。
ここは小学生の時に住んでいた田舎町。
そんな想像をしてしまう。そんな田舎で、どこか可愛い、静かな町だ。
温かく、どこか懐かしい料理たちを食べ、本当に懐かしく、温かい気持ちになっていたのだろう。

因にそんな実体験は存在しない。


そんなほっこりとした後に、これも初体験。Puti clubと呼ばれる、所謂、売春宿に行ってきた。
そういう所があると聞いて、一度行ってみたかったのだ。
想像したのは、映画『イージーライダー』である。
単なる風俗店ではなく、『館』だというので、もうそれはスペイン体験として一度見なくては、と思ったわけだ。
聞く所、バーみたいなもので、そういった女性が客を誘ったりするのだが、一杯呑むだけでも良いと言う。有り難い。ある意味、不純だが、別に行為自体に興味はないのだ。

店にもよると思うが、私の想像とは少し違った。映画のように、古い洋館で、渋い売春婦が階段から降りて来る、というような光景ではない。
所謂クラブに近い。バーカウンターで酒を呑み、裸同然の女性達が客を誘う。
カウンターの中では、年配の白髪の男が酒を作っている。ブルースだ。
シーバスリーガルを注文した。

呑んでいると、何人かの売春婦が次々にやってきた。詳しい事は分からないが、ルーマニアの女性が多い。
どんな職業であろうと、頑張る女性は美しい。実に逞しく、堂々たるものだ。

日本のこういった風俗というものは、写真を見せられ、選び、部屋で初めて会うわけだが、もう、ここは剥き出しである。
日本の場合、隠すエロティシズムとでも言うのだろうか。それも素晴らしいが、この対極にあるのではなかろうかというPuti club。これがまさに異国、と言った所か。文化の違いを如実に感じた。
客を自分で誘わなければならないので、サービス精神も素晴らしく、ただ呑んでいるだけでも十分楽しめる。これが日本にあったら、風俗界が崩壊するかもしれないとさえ思う。
山の中、赤と青のネオンに光るPuti club。これはこれで、また、ここのリアルな風景なのだ。


そんなこんなの初体験。そしてこの、懐かしいレストランとPuti clubというハイコントラスト。
中々、刺激的な夜だった。
朝、起きるとパソコンを抱きかかえて寝ていたようだ。

ワインの呑み過ぎか。些か、抱く相手を間違えたようである。